平沼:あの今、敷地が島なので、島に1台だけあるタクシーの運転手の話をしているんですけどね。

永山:めっちゃくちゃいい人!

平沼:ね。

永山:本当に、感動して。

平沼:横尾さんの美術館ができたっていうのを見て、びっくりして行って最後に永山さんが作られたのを知ったっていう。確かに、2次元的にできていた。本当に不思議な空間ですね。

永山:気持ち悪いっていう人もいるんですけど。もう本能的に嫌だっていう、その赤に嫌だっていう人もいるんですけど。

芦澤:横尾さんの美術館だからね。

平沼:そうなんですよ。凄くかっこよかったです!

永山:これやる時に、豊島美術館見に行って、完璧な抽象世界じゃないですか。こんな素晴らしい完成度の美術館があって、私は一体何を作るんだろう?って思って。でも、私は徹底的に具象を使って抽象を作ろうと思ったんです。兎に角、具象的な物をこうたくさん織り交ぜて、何か違うものを作ろうと正反対にしていこうと。

平沼:なるほど。時間がいっぱいになって来たので、会場からちょっと質問を取っていいですか?

会場1:すみません。優れた建築家になるには、どういう経験や勉強を重ねるのが良いと思われますか?

永山:難しいですね。それ、私も誰かに聞きたいくらいなんですけど、どうなんだろ?色々見た方が良いっていうのは、よく皆さんおっしゃっていると思うんですけど、私は見たものを、分析する癖をつけるといいのかなといつも思っています。なんでこれを綺麗って思うんだろう?とか、なんで心が惹かれるのだろう?というのを、その場である程度分析して、次の自分の建築に活かせる材料にまで切り刻んで、ストックしとく。そういう癖をつけると、結構いいのかなと思ったりします。

平沼:大丈夫ですか?

会場1:ありがとうございます。

平沼:はい。もう一方。

会場2:すみません。東京にある模型の美術館に行って、そこで永山さんの作品をみて、お会いしたいなと思って今日来たんですけども、模型の話が今ちょっと出てこなかったので、何か、模型がどういう存在なのか、一言でいいので、教えていただければと思います。

永山:そうですね。私、スケッチを描くより、模型でスタディーすることが多くて。最初は、手乗り模型って言っているんですけど、すごくちっちゃな模型をたくさん作っています。このぐらい。手に乗るぐらいの模型の中にきちんとコンセプトが見えてこないと、やっぱり強度あるものにならないと思っているので、あまり大きな模型は最初に作らずに、小さな模型をたくさん作って、これかなって思うものをだんだん拡大していって、住宅の場合は、30分の1ぐらいまでの大きさだったり、あとは部分模型とか、1分の1とかも作るんですけれども。そんな風にして、ちょっとずつスケールを大きくして、スタディーしていってます。

平沼:ありがとうございます。僕ね、ちょっと聞きたかった質問があるんですけど、

永山:はい。

平沼:あんまり女性とか、男性とか、関係ないんでしょうけど、今までの建築家の方たちって、僕がちょっとだけ家に行ったりしていたザハ、付き合いというか、そういうのがあって見ていると、妹島さんや長谷川逸子さん、林雅子さんも見てて、子ども産んでおられないんですよね。それで、永山さんは、子どももしっかり産まれて、家庭も持たれて、一緒に設計をやられているじゃないですか。今後の女性の建築家って、きっとそういうタイプの人たちがどんどん増えていくと思っているんですね。実際は、作品と向き合う時に臨月を迎えられていたり、言葉通り、大変な思いをして作品もお子さんも産み出していくっていうことをやられていて、正直大変ですよね?

永山:そうですね、すごく大変です。

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