平沼:ありがとうございます。芦澤さんどうですか?

芦澤:シルバーというか、天井に貼っていた材料ありますよね。あの素材はなんですか?

永山:ステンレスの2B材で、なんか反射の具合をいろいろテストし、あんまり鏡面にすると、光ってキラキラしすぎちゃうので、良い感じに反射するものは何かというものを実験して。細かく幅変えてピッチも変えてこうランダムにやっているんですけど、そうすると、さざなみにこう写ったような、ちょっと水面の、少しさざ波になったところに写ったような風景ができるかなと。

芦澤:なるほど。体験を連続させるというお話は永山さんらしいなというか。

永山:そうですね。

芦澤:建築として表れていて、それで今2つ見せていただいて、両方とも思ったのは、結構プランの構成はすごくしっかり、明快な構成が作られていて、特に後のホールの方の作品は、表面のマテリアリティ、自然現象の使い方というか、隠し方や反射の仕方で、シーンをずっと連続して作っていくような印象があったんですね。でも1つ目の住宅の方は、ちょっと違うなぁと言う印象があって。もうちょっとストロングな明快なパブリックとプライベートで、内と外みたいな印象の違いを感じたんですけれども、その辺って意図的なものとか、あえて都市である場合と、こういう自然環境が豊かな場所でやる時のスタンスの違いとかってあるんですかね?

永山:そうですね、特にこれがすごく大きな建物だったので、余計に大きな建物という意識をどう外していくか、みたいな。それで、構成として分棟にするというのはよくある手法ですし、そうなるだろうなっていう感じですけど、なるべく建物に入った時の体験の方に寄せようということで、まぁそのマテリアルとか、俯瞰させないようにするとか。そういう風にしていくことで、なるべくその最初に作った強い構成を消していくようにするっていう。

芦澤:なるほど。消す作業の方が時間をかけていますよね?

永山:そうですね。私、結構構成は割と強く分かりやすく作ることが多くて、それを体験に寄せるために消したい時は頑張って消していく。

芦澤:消さなくてもいい時はまぁ消さなくてもいいかなって感じで。

永山:そうですね。例えば住宅みたいに素直に出しても、割と問題になるような、構成が強いなって思う程の大きさでもないので、あのくらいだったら素直でいいかなって。規模感とか場所とか、公共か個人かみたいなことにもよるんですけど。それによってなんかちょっと変えているのかもしれないですね。

芦澤:なるほど。その2つが明確に出ているなと、分かった2作品でした。

平沼:そもそもね、プロセスを聞きたいんですよ、作り方のレシピを。永山さんって、ファーストスケッチとか描くタイプですか?

永山:そうですね。割と簡単な図みたいなものを描いたりしますね。

平沼:どういう風に平面計画や建築の目標みたいなものを導き出されていきますか?

永山:そうですね、どうやってるんだろう?構成じゃなくてイメージからつくる時もあれば、割と内容や用途がはっきりしていて、割と構成が先に決まるものは、構成から進めていくものもあります。ものによってかもしれないです。

平沼:結構プログラムにあることだったり、クライアントの意見だったり素直に受けるんですか?

永山:まずは素直に受け止めます。そこから面白いことを導き出すっていう感じなので、あまり自分の中でこれをやりたい、あれをやりたいといったはっきりした想いみたいなものをあえて持たないようにして、状況の中から面白いところを作りだしていくというか見つけ出していくみたいな感じ。

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