芦澤:さっき仰っていた三つのキーワードありましたよね。えっと潜在…。
樋口:潜在資源の発掘。
芦澤:あっ潜在資源の発掘。あの辺をもうちょっとだけ解説していただくことって。
樋口:2分ぐらいで?重村2分ぐらいで三つやってくんない?
芦澤:あははは。
樋口:じゃあ僕がやろうか。要するに、僕たちはただフィールドワークが大好きで、動き回る。きっかけは大島の元町計画。1965年元町大火の後、元町復興計画をやることになって、墓地なんです。墓地をみんな区画整理で壊しちゃう。その時、やっぱりこれは残さなきゃいけない。これは財産だ。それは発見的方法でもあり、潜在資源、つまり、そこの地域にある、その場所が持ってる、もともと持ってるものを大切にする。その時何を読み取るかだけどね。逆格差論っていうのは明らかに、他の地方でもそうでしょうけど、沖縄という、僕は今でもそう思うけど、みんな日本の一部と考えてない。その時、逆格差というのは給料だけで、あるいはビルの数だけで、格差、人の暮らしを考えちゃいけない。つまり、気候があったり、沖縄だとTシャツ一枚でいいじゃないとか、魚うまいよとか、野菜もうまいのがある。この頃はみんなゴーヤとか食べているけどさ。そういう全部、総合的に考えると、我々の豊かさ、つまり都市は豊かになって、地域は疲弊するんじゃなくて、地域こそ豊かなんだって嘘でも言いたい。僕は嘘じゃないと思ってるけど。要するに、嘘でも何でもいいの。我々は豊かなんだと。だから、大阪、東京は貧しい。東京に原爆を。原発じゃなくて原爆。そうしないともう東京に救いはない。例えばそのくらいの事を言って。逆転の発想。帯広は多少救いがあるかなって。僕なんかがいる万年はすごくいいんじゃないのと、ね。空が大きすぎて嫌いだけど。
芦澤:あ、嫌いなんですか。ふふ。
樋口:空が大きいのは嫌いです。
芦澤:はい。ふふふふふ。
会場:(笑)
樋口:最近話題になった、コルビュジエ。
平沼:最近ですか?
樋口:ほら。
芦澤:世界遺産ですね。
樋口:西洋美術館。知ってんだろ?
平沼:あーあー、そういう意味で。はい。
会場:(笑)
樋口:それでさ。隣が吉阪隆正先生です。コルビュジエの弟子、日本人の弟子が前川國男、坂倉準三、それから吉阪隆正。その中で、吉阪隆正は、「たか」って呼ばれて一番愛されたみたい。簡単な事で、フランス語ペラペラなのね。言語が通じるっていう。それと、茶目っ気があってかわいかったっていう。で、コルビュジエがわざわざ自宅まで来る。ディスコントってタイトルにしましたけど、彼は、建築家っていうより登山家だったり、色んな職業を持ってる。平和活動家とも言える。その時、ディスコントという、これは建築の設計で出てきた思想なんだけど、ディスコンティニュアス・ユニティ、不連続統一体。要するに、みんな勝手気ままにやろう。自由な形を持とう。人間それぞれでいいじゃないと。それで、なかなか難しいのは、例えば、自由と平和みたいで、勝手気ままに僕ら自由にしてるよって。だけど3人で仲良くしていこうかっていうのは、これは難しい。ディスコンティニュアスを省略してディスコントっていう。その時の一番大きな一つの考え方が、ピラミッドから網の目。要するに今言ったように、個人個人は自由で、日本国家があって、大阪があって、東京があって、東京の下に区があって、とか。あるいは人間で言うと、学長がいて学部長がいて、というようなのやめようよって。学部長と生徒と、直接話し合おうよと。そういう世界ができないか、という。できないよね、これはなかなか。それを模索した人。
平沼:なるほど。 |