原 :最後は「札幌ドーム(2001)」です。動画をお見せしましょう。自然光が入ってきてさ。すごいんだ。夕日と一緒に人が入ってくることを計算してね。

平沼:すごい。これは野球ですね。

原 :そう、野球。野球モードとサッカーモードとのモードチェンジですね。

芦澤:建築自体が変化していくんですね。

原 :この写真はね。モードの変換を図るという事。つまり建築は一つの機能じゃなしに、様々な機能を持つ事が出来るんだとかね。そういう事が言えると同時に、モードチェンジ(mode change)、いわゆるモデフィケーション(modification)ができる。
一つ、同世代の他の人たちと自分は何が違うか、と思っているのは、神話が重要だと認識していることなんじゃないかって。物語性みたいなね。僕は梅田スカイビルを作った時には空中庭園幻想っていうのが、世界何処に行ってもそれに溢れていると気がついたので、それじゃあこれをやろうと考えたんですね。それは言ってみれば神話。

芦澤:超越的な。

原 :超越的というか、歴史の根源に遡る、その感覚が重要なんじゃないかっていう事なんです。

芦澤:それは例えば住宅設計でも出来ますか?

原 :それをどうしたら遡れるか。日本の神話、民話とかね。結局、「非ず非ず」に到達せざるを得ないと思う。そこで仏典だよね。日本の仏典に対する感覚です。

芦澤:うーん。

原 :次は雪がふっているこの一枚。建築っていうのは、その建築家が考える事以上に乗り越える事の出来るっていう一つの例だよね。まさかこんな事をやるとは思わなかったっていうか。考えもしなかった訳ですよ。室内に雪を全部持ち込んで表のサッカー場の所に池があったりして世界選手権やったりしたんだよね。やろうとした人もすごい決断だけども、札幌市もすごい。想像力っていうのは自分の方にあると思ったら大間違いですよっていう、そういう例です。様相の変化ってだけじゃなしにね。

平沼:これは今、計画されている物ですか?

原 :そう、今建築している今治市の「みなと交流センター(2015年竣工予定)」です。現場真っ最中ですね。どうなるか見物ですが。これは船です。丹下先生の今治だよ。全部コンクリートで作ったのですが、仕上げは全部木で覆います。

平沼:あ、これも木の模様だ。

原 :そう。下見張りなんですね。何しろ竣工まで頑張ってやらなきゃいけないですね。

芦澤:ここのプロジェクトでは様相っていうテーマは、どうなんでしょうか。

原 :相当色んな変化も出ると思いますね。

平沼:プロポーザルなんですよね?

原 :そうです。

平沼:京都駅もスカイビルもコンペですよね?

原 :全てそうでしたね。僕に与えられたのはほとんどコンペティションですよ。よほどの事がないと、中々指名でいただけなかった。「宮城県図書館(1998)」や「広島市立基町高等学校(2000)」は指名でしたが、他はほとんどコンペティションですね。

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