平沼:なるほど。では次に進めていただきたいのですが。

平田:先ほどのfoam formというコンペティションの案は落ちたので実現しなかったのですけど、その案を見て、いくつか仕事が来た中の一つです。台北市の松山空港の所に、観覧車があって、その観覧車の脇の敷地に美術館と家具屋さんとレストランがくっついたみたいなコンプレックスをデザインしています。
デパートとは全く違う、共生をもった空間を作りたいっていうのがクライアントの考えです。台湾って昼間は暑いので人は夜に出て来て活動するという、屋外空間が非常に重要だと話していて、代官山に設計したsarugakuという、小さい商業施設に案内したら、クライアントが凄く気に入ってくれて、これを作ってくださいって(笑)。まず、sarugaku は850平米くらいしかないけれども、台湾のコンプレックスは一万平米以上あるから、全然規模も違うし、機能も全然違うし、どうしようみたいな感じでした。屋外の色んな空間が出来るような状態を作って欲しいという依頼で、階段とそのボリュームがからみ合うようなシステムの考え方で屋外空間のネットワークを作っています。リジットなグリットで出来た町並みみたいなものが段々崩れて、発酵して、その間に植物が生えているみたいなイメージで考え始めて、やはり工夫が必要でというのも元々デパートのようなプログラムなので、それなりに商業空間としてのフレキシビリティを必要とするので、この上にあるような、完全な村モデルでは解けないんですよね。やはり、クライアントも村を作りたいとは言いつつも、完全な村を作ったら良い訳ではない、では、デパートを作ればいいのかっていうと、デパートを作ったらおしまいだろうと。その間をとって、その階段で覆われた所も下は一体空間になっていて、上は何階も積むっていうことを考えて、多柱室っていうんですかね、ラーメン構造で作っていて、下はだから多柱室で上は村みたいな状態で、上は村のような感じで。ずっと繋がって連続空間になっていて、ほとんど構造的な壁がないです。 だから編成変えとかに関しては結構フレキシブルに対応できるし、間に出っ張っていくことも自由にできるだろうっていうようなことで、割と鷹揚に構えられるような大きな空間が下に用意されていながら、上は皆のものになっているというのが、案として受け入れてもらえたっていう流れがあったのです。階段だけとりあえずこうなっていて、階段の中も複数レイヤーされていて、それが中の移動空間に使われていたりします。先ほどのあの住宅にちょっと近いところがありますけど、あの住宅は100平米にも満たないのですが、 その種が都市のスケールで展開しているとも言えるかも知れませんね。そして、開口の部分は少し発酵した 感じになるように、 GRCを使って少しファサードを作ろうとしています。 いくつかの開口 パターンを決めて、それを展開して 複雑な全体をつくる ような考え方でやっています。

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