芦澤 : どうぞどうぞ。よろしくお願いします。

平沼 : よろしくお願いします。実は先ほど、控室でたくさん質問をさせていただいて、僕たちズルしていっぱい聞けないことまで、お聞きしてしまったのですが、もっと今日は楽しみにしています。よろしくお願いします。

芦澤 : それでは、自己紹介をいただいてもよろしいですか。

青木 : 青木といいます。こんばんは。建築家をしています。自分の事務所を初めて今年でちょうど20周年なのです。20年間よく続けられたものだな、と思っています。今日はその間のことから、今、一番関心があることをお話しできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。

平沼 : 僕たち1971年生まれなので、91年というと大学2年生の時に青木さんが独立なさった年です。その後、僕は青木さんが発表される住宅作品をすごくよく見ていましたし、雑誌などで書かれた文章をたくさん読ませていただいていました。
そもそもなぜ建築をやられたかを教えていただけますか。

青木 : 大学で建築を選んだ理由に遡るのですが・・・なぜかな? 小さい時から家とかも含めて建築が面白いなって思っていたのです。小さい時に、「自分の住みたい家」みたいな間取り図くらいを書くじゃないですか。あれを書くと単なる絵なのにその空間がイメージできる。それがすごく面白いと思っていました。それが、1つの理由です。その後、中学生くらいだったと思うんだけど、街に出かけても面白い建物ってないな、と想っていて、僕でもつくれるのかなって思ったという、結構単純な理由でした。

平沼 : 受験をされるときに決められたということですか。それとも大学に入ってからの選択時に決められたということですか。

青木 : 東京大学に入る時に、一応は建築の方に進もうかなって、思って入ったのです。

芦澤 : じゃ逆に、建築を辞めようと思った事はありますか?

青木 : あっ、一応今60歳で辞めようと思っているんですけど。(笑)

平沼 : わっ、(驚)

芦澤 : そ、そうなんですか。それは・・・理由をお聞きしてもいいでしょうか。

青木 : どう言ったらいいかな。建築っていろんな人と関係を持ちながらやる仕事です。でも、すごく大変ですよね。いつか独立したいなーと、想っているのです。自分の好きなことをしたいな、と思うのですが、夢として60歳で独立をしたいということです。それはつまり、僕は磯崎新さんっていう建築家の事務所で働いていたけど、20年前くらいにそこから独立したわけです。でも独立したら、より独立じゃないことに気がついていたんです。要するに一人で事務所を持ってやっていくってことは、より多くのいろんな人とのことを考える。それはいいことなのだけど、一生のうちのどこかで、自分だけのことを考えたいなって思うんです。そういう意味で、いつか独立したいと思っています。

芦澤 : なるほどです。でも、もしかしたら、また建築にもどってきてしまうかも知れないっていう…。

青木 : つくることや考えることが好きだから、結果的に一人で建築をつくっているのかも知れないし、建築じゃないことなのかも知れない。それは今、わからないですけどね。

芦澤 : そういうことですね、安心しました。はい、ありがとうございます。

平沼 : ちょっと、びっくりしましたけど(笑) あと、5年くらいなのかと思ってしまいました。

青木 : そうですね、あと5年ですね。でも数日前にNHKのプロフェッショナルっていうのを観たら、天ぷらの三河のご主人が出ていて、その人がプロって死ぬまでやることだって言っていて、そっちもいいかなって(笑)

芦澤 : ということはわからないですね、まだ・・・(笑)

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