芦澤:ちなみに、どういうお施主さんが多いですか?お仕事を頼まれたら全部受けられます?それともこう激選されますか?

鈴野:今までは、来る者拒まず、千本ノックみたいなつもりです。面白い仕事もいっぱいあります。(笑)

芦澤:今は選ぶようになっていますか?

鈴野:設計料込で5万円って言われたときもあります。(笑)それでも受けて、外に本棚をつくってほしいって言われました。今はさすがに優先順位をつけたりしています。
これは、カラー合板を扱っている会社が名古屋にあって、紙とかと同じでカラー合板といってもポリ合板です。メーカーまで指定しなかったりしますよね。なので、自分たちから発信していきたい色が一枚からもつくれるとか売りにしているんです。家具を自分たちのポリ版でつくって発表していきたいって言われました。興味があるところとしては家具と建築の間なので、家具を作るときは建築のようにって言いました。これはこういう顔だけ突っ込んじゃうとその人の部屋にはなれるというような、パーソナルな空間がもてるというものです。

平沼:なるほど。

鈴野:トップライトがあったり、窓が開いたり、つながったような広い空間を想定しながらリビングとかオフィスとか考えました。繋がりながらも、少し自分の仕事に集中したりとか本読んだりとかできる場所です。社長室のない社長のためにとか、子ども室のもてない子どものために、書斎の持てないお父さんのためにとかをコンセプトにしながら、いろいろ持てますよという。ここがあなたの部屋ですよって、ここだけを綺麗にするかもしれないしここだけをもう汚し放題にするかもそれない、部屋のようなデスクです。

平沼:これ子どもが面白がらないですか?

鈴野:そうですね。ほんとにあっという間にディスプレイしちゃいます。

平沼:小さいとき、僕、自身自分の部屋がなかったから、絶対喜んだと思います。

鈴野:オフィスでも自分の空間がなく、私物はロッカーに入れてというスタイルも流行っていますけど、やっぱり自分の匂いを残したい。コンピュータの上に何か人形があったりとか、帰る場所みたいなところです。家にもなかなかお父さんの場所って与えられないですけど、ここだけはっていうところをつくりました。

芦澤:大きさは全部一緒ですか?

鈴野:そうですね。中の色だけが違っています。

芦澤:何か天井とか高い、面白そうですね。ちなみに一つおいくらですか?

鈴野:65000円弱いくらだったと思います。

芦澤:6万5千円で我が家が買える。

鈴野:はい、部屋が買えると安いと思って。

平沼:そうですよね。鈴野さん、今スライドが167枚目で233枚あるのに、今8時17分です。あと5分ぐらいなのです。あと70枚。どうしましょう?

鈴野:じゃ簡単に石巻工房の話をします。これはウエディングリングですけど、時間が経つと色が出てくるという、最初はシルバーでだんだん時が経つとゴールドが出てきます。ウエディングリングをどう考えるかといったときに、時間をシェアしてるという意味だなと思って、それを感じられるようにしています。

芦澤:何年後ぐらいに金色が出るんですか?

鈴野:5年とかでちょっと見えてきます。

芦澤:すぐ別れると価値が分からないですよね。

平沼:5年未満で別れたら金色が見えないってことですか?

芦澤:そうですよ。なかなかいいじゃないですか。離婚しない社会を促してくれると思います。

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