平沼:鈴野さんは設計をしていて、どんなことに問題を感じますか?

鈴野:何かにいくときに、そもそも何かこの人とやるのかみたいなことになっていたり、模型のことを考えるときに、チームをどうつくろうかとかです。結局チームづくりまで発展していくんです。。

平沼:禿さんと鈴野さんの役割は分かれていますか?

鈴野:結構はっきりはしているかもしれないです。

平沼:どういうふうに分けていますか?

鈴野:クラスカをやったときも、僕がディレクションし、禿が落とし込みをしたりします。でも、そういうところがありながらも、一緒に設計事務所やろうとはっきり決めたわけではなくて、そのまま11年経っているので、曖昧な感じでもあります。

平沼:なるほど。

鈴野:関係も似ていて、共同でやっていますけども、僕はプロジェクトディレクションしながら実際に行動していくようなところを一緒に。やっぱり関係が曖昧ですよね。

芦澤:年齢はご一緒でしたか?

鈴野:禿が3つぐらい下ですね。設計事務所に勤め、オーストラリアから帰ってきて、先生のところの設計事務所に入って1月後ぐらいにクラスカの仕事がきて、小さい部屋だし、手伝いますみたいになりました。その時に模型とかつくってもらう人と思い、たまたま電話して出たのが禿なんです。だから本当に模型つくってもらうぐらいでした。(笑) その時にうまくいって、そのあとにクラスカの屋上の仕事が来たので、じゃこれも一緒にやろうって言って今までずっと続いています。

芦澤:なるほど。それはもう舎弟関係なんじゃないですか?柔らかく言われていますけど。

鈴野:ははは、そんなことないですよ。

芦澤:はい、建築が出てきましたね。

鈴野:もう建築というか、リノベーションで、住宅のプロジェクトです。これクラスカの近くにあります。地下1階が倉庫で、2階が事務所、3階が住居。地下まであるから結構な解体費がかかるんですけど、リノベーションを選んだことで解体費を浮かせ安く物件を手に入れてます。
コンクリート造なのにこんなに木造のようにして仕切っているので、暗くてじめじめしている空間でした。それを2階と3階を住居にしようとして、1階は将来のために残して店舗にしたり、貸したりとかできるように。外階段しかなかったので、穴をあけました。そこで2階と3階をつなごうと考えて、箱をぽこっと落としました。2.5階みたいなところが小さいですけど、ここにあります。こういう箱を落として、これが建築を考えるときに家具的に考えていきます。この箱というか家具のようなものがあるだけで、各面に対して上部も入れると5つの場所を緩やかに仕切っています。床に穴をあけて、この家具を置いて、あとは床を張ったぐらいで、僕たちも手伝って、壁のペンキとかを塗りました。出窓にコーナーをつくって、天板と天井を張って、みんなで仕事したり、本を読んだり宿題をしたりしています。これはライブラリーと呼んでいるようなところです。子どもは結構中間階が好きで、お父さんお母さんが両方に見えたりとか、繋ぐような形になっています。地下と1階もあって、ここをそのまま貸せたりします。本来簡単に壊されちゃうところがこんな風にリノベーションされて、家具的な発想で考えていました。

芦澤:今解体費以外ってこうおっしゃられましたけど、具体的にはどのくらいですか?

鈴野:そうですね、一千万。僕らがペンキ塗っていたら、実は家族とかハワイに行っていたりとかして、そこまでしなくてもよかったかなってぐらいです。

芦澤:そういうの、たまにありますよね。

鈴野:お金がなくて、こんなにかつかつやったのに、建て替えと同時に車が新しくなっていたりとかします。

芦澤:あります。僕も前に、裕福な住宅だったのですけど、それでも詰めていて、竣工日にフェラーリが納品されていて、もう現場監督も僕らもブチ切れていて、帰ろうかと思いましたね。

鈴野:5万、3万とかの行き来は何回もやっているのに。

>>続きへ


| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | NEXT