平沼:これスパイラルですか?

鈴野:はい。300個ぐらいの白い器をいろんな方向で吊ったりしていました。

芦澤:このプロダクトは、どこからかの依頼があったのですか?

鈴野:立川の印刷会社です。プロダクトをつくってそれを空間に広げて、それを大きくして都市にまでしていくという巨大な空気の器を吊って、伊勢丹の大きなショウウィンドウにかざったりとか、発展させたりもしました。これも場所によっていろんな空間で、インスタレーションをしています。

平沼:多分ね、大阪の作品だったらこれは、儲かっています。

芦澤:建築より儲かっていますね。(笑)

一同:(笑)

鈴野:すごく売れているようです。世界中のミュージアムショップとかで売ってもらって、定期収入ですね。(笑)

一同:(笑)

鈴野:これは、妹島さんが設計した、SHIBAURA HOUSEという建物で、空気の器に乗ろうというワークショップをしたときです。天井高が5mくらいあるのですが、それを活かして、空気の器に乗ろうというワークショップです。最初に自分の写真を撮って、大き目に切ってもらってバランスゲームをしたんです。ヘリウムガスをもらって、空気の器に乗せていくんですけど、軽すぎちゃうと飛んでしまって取れなくなるので、慎重に切りながらバランスの釣り合うというものでした。

平沼:なるほど。

鈴野:イスタンブールとかまで行ったり、空気の器に乗って、自分が世界中に行っているようなところがあります。展覧会とかワークショップとかしょっちゅうしています。

芦澤:面白いですね。

平沼:どうですか皆さん。自身の作品によって人との関係をどんな風になっていけばいいかと考えて、関係性を意図されていますよね。

鈴野:なるべく余白を残して、これも黄色と緑というものをじゃなくて、自分で緑をつくるとか、自分で切り口がいろんな形になるとか、これだけじゃなくても、そういう風に、自分で場所を選んで、空間でも、そういうふうに余白をなるべく作ろうとはしています。その人とその人の一対一だけのものになれるようにもなれたらいいなとも思っています。

芦澤:こうゆうプロダクトの思考が、そのまま建築につながっていくようなこともあるのですか。

鈴野:そうですね。これをみて、キャノンのミラノサローネの展示を空気の器のような空間でつくって欲しいと頼まれたりしました。

平沼:現代社会というか、今僕たちが生きているこの時間において、僕たちが学んだ時点の建築家の役割と、世界から求められている物って少し変わって来ているようにも感じています。僕たちもそうですけど、泣くまでクリティックをやらされたというような時代ではなくなってきている。(笑)今の鈴野さんは、最先端の日本で誰よりも早く建築家という肩書きを持ちながら、そういう事にトライアルしている方だなと今日のお話しから感じて、ニュータイプですよね。そんな鈴野さんが、これから見る建築家の役割ってどんなのでしょうか?

芦澤:つまりは自分が、考えられている自分の役割、でもいいと思いますけどね。

鈴野:今奈良市長から奈良まちセンターというところの改装設計を頼まれています。きっかけは、奈良まちセンターのインテリアを、カフェにしていくコンペです。そのカフェだけできても何も変わらない、街が変わらないなと思って、どんどん都市に対して、提案してみました。ソフトを固めていって、建築家というとどんどん条件を疑っていくので、結局前提に戻って行って、誰が、どういう人が運営して行ったらいいのかとか、そういうとこから、すごく入っていますね。山崎亮さんみたいな立場に、なるときがあります。

平沼:なるほど。

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