芦澤:スタイルを問う言い方は適切ではないと思うんですけど、建築のつくられ方なり、つくられているものというのが、最初からずっと一貫されていると思うんですけれど。
小川:ワンパターンということですね。
芦澤:いや、微妙な変化というか、つくられたものですとか、あるいは作り方で、変化は今までおありだったのでしょうか?それともずーっと一貫して。
小川:実際の仕事なので、コストパフォーマンスっていうのもありますよね。どちらかというと、素材の豪華さというよりは空間の豊かさの方を優先させています。
芦澤:なるほど。プランを見させていただきますと、すごくプランが明快だと思うんですよね。あのプランに行き着くまでに相当なスタディをなされているのか。
小川:しないしない。
芦澤:えいや!で一発で?
小川:そうですね。あははは。
芦澤:施主があまり口出しはできない感じですか。
小川:いや、全然大丈夫ですよ。今まで、クライアントが色々いらっしゃったのですが。沖縄の施主や四国の36m HOUSEの施主も、いろんな建築家の人に頼んでやってもらったけれど、どうも納得いかないので、思い切って小川さんのところに電話しました、と。難しくてちゃんとやってもらえないと思ったと。でも、ちゃんといろんな話も聞いているので、もう全然OKなんですよね。
芦澤:なるほど。そういうのを、色々聞かれたうえで、プランも最終的にぐっと決まる、ということですか。
小川:一発で決まりますね。シンプルなもので。聞いて一番シンプルなものを造る。条件を聞いて、それを全部クリアできそうな案とか。それがミニマル イズ マキシマル。たくさんのもの、つまりマキシマムなものを、懐の深いミニマルなものにする。
芦澤:いろんなものを実現できる最低限の・・・。
小川:あまり、デザイン過多というか装飾過多ですると、それ一辺倒の空間で生活するようになるじゃないですか。でも、うちのはどんな家具持ってきても、どんなふうに生活しても大丈夫。かつ、すごくストイックな空間や、すごく冷たいような空間も実現できるし、雑多にもできますよね。両方兼ね備えていると、いつも思っているので。
芦澤:共用力がある。
小川:包容力のあるものを造りたいですね。音楽とかも、クラシック、ポップス、ジャズいろんな音楽を聴きたいじゃないですか。あるいは、食事も、日本食、洋食いろんなものを食べたいですよね。それと一緒で空間もいろんな体験をしたいので。そういうものを包容できる空間って大事かなと。あまり、デザインしすぎたのをつくると、ストイックなすごく綺麗な空間を体験できないじゃないですか。だから、すごくシンプル側に持っていって、いろんなものが入っても大丈夫というようなことを考えています。
芦澤:一見、すごく張り詰めた空間に見えながらも、住宅雑誌に載ったものも実際にはいろんな家具とか沢山置かれていますよね。今日も見せていただいたように。 |