2 1 7[ nie - ichi - nana ] 第45回 日 時 : 2017年 5月 19日 PM 7:00〜 会 場 : 大阪・梅田 グランフロント大阪 ナレッジシアター
芦澤:まず、齊藤先生の本はルイス・バラガンの本ですとか、今回、日本の建築の本も読ませていただきましたけれども、改めてどういう理解をなされているかという事が限られた講演の時間ですけれども勉強させていただきました。
平沼:ちょっと質問して良いですか。昨日、偶然ですが三井寺に行きました。三井寺の縁側の前に障子がありますが、障子の張り方は内向きなのか、外向きなのかというのは何か規則があるのですか?
齊藤:それは障子の組子と言いますか、桟は部屋の内側にあるのか、外側にあるのかという事ですね。
平沼:そうです。
齊藤:障子は中国にも韓国にもあります。 中国や韓国では骨組み、いわゆる組子が部屋の外にあります。そして、日本だけが内にあります。内にあって、距離感が近いので、先ほどの桂離宮みたいに障子の桟をデザインする時に、日本人でなければできない繊細さがそこにある訳です。
平沼:もう1つだけ聞かせてください。今工事中の札幌の建築の現場について、外壁に張っていた板張りの幅が微妙に違うように見えたのは、あれは違うのですか?それとも何か意図がありますか。
齊藤:あの板の長さは8mありますが、普通の日本の建材は4mの長さです。それだけの事をやるために、山に入って木を伐って、製材をして、そうしないとあれを実現る事はできないのです。調達するには、どこの山になにがあって、いくらで買えるのか、どう運べばいいのか。それがわかってないとできません。丸太をズバ挽きで製材しましたが、幅の狭い板と広い板ができます。その幅を揃えないで、3種の寸法に整理して使いました。長くしたことでスケール感大きくなりましたね。あそこで継いだら、貧乏くさかった。
芦澤:僕もいいですか。齊藤先生のお話の中で印象的だったのが何度か言っていた、明るすぎると人は馬鹿になると。
齊藤:私もある人から教わった事です。
芦澤:あぁそうですか。それと、光と影と陰というキーワードをおっしゃられていて、その3つの要素というのをもう少し何か解説していただけると。
齊藤:光をデザインするときに、光と影と陰を分けるということ。
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