平沼:高松先生が挙げられた建築家、川崎、菊竹、白井をみて、そして高松と連なると、なるほどなぁ、と建築家の歴史文脈に想像力が働きました。もう一つ、これお聞きしていいのかどうか質問に入れてみたのですが、なぜ建築を続けるんですか。

高松:これは 1つしか理由はありません。要するにまだ処女作「織陣T」を超えていないからです。いつか、 超えたいと思っているんですが 、まだまだ超えていない。そういう意味で、まだ 始まったばかりというような気がしています。

芦澤:この処女作はいくつの時におつくりになられたのですか。

高松:これはまだ20代 ですね。
まぁ、20代がいつだったのかを、僕はとっくに忘れてしまいましたけども。(笑)

平沼:(笑)高松先生の「織陣T」に代表される初期の作品群を越えるような今後の建築とは、どんな建築でしょうか。

高松:これはもう即答しますが、 宗教建築を造り たい です。
どの宗教 ということではなくて、もっと穿った 言い方をすると、宗教を超えるような宗教建築を 造って みたいというふうに今、思ってますね。

平沼:それは精神性の高くて深い建築?

高松:精神性と言われると、ちょっとまごつきますけども。 やっぱり先ほどの映像でも出ましたが、 我々 が知っているようなことをいきなり超えて 、我々に触れてくるような、ひとに触れてしまうような、 そういう建築を造って みたいと思っています。 これまで幾つか小さな宗教建築を手掛けています。「西福寺」は禅宗のお寺です。そして 「能勢妙見山信徒会館“星嶺”」は 修行の場です。宗教建築というよりも、鍛錬の場ですね。 さらに「東本願寺参拝接待所」は 亡き人を偲ぶための空間を用意した建築ですね。いつかは これらを超えた 宗教建築を 作ってみたい。

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