芦澤:会場からの質問。OBの方もご遠慮なく。(笑)
会場1:今日は楽しいお話ありがとうございます。タママチヤについて質問したいんですが、金沢の町屋の場所は、日本の伝統的な街と見た目がちょっと違うんですが、ああいうところに建てるんであれば、先生のおっしゃるように同じようなものをつくればいい。逆に都市部にそれをつくるとかなり浮いた建物になってしまう。どういう風に想定されて設計されたのですか? 居場所がないように見えてしまったというか。
塚本:今ほとんどの建築は、物理的な居場所はあるけど、歴史的な居場所はない。大事なのは自分たちは今どこに居て何をしているのかを考えることです。むしろ歴史的時間の中でどこにつくるかという話になったときに、町屋の形式で現代の住居を組み立てるのは面白いと思います。
会場1:わかりました。町屋の話で言えば、地域にはある建築的な秩序が必要だと思うんですけど、先生が10年前にメイド・イン・トーキョーというプロジェクトをやっているときには、東京のごちゃごちゃした街が良いかどうかはわからないけど面白さがあると主張されていたと思うんです。町屋とかのプロジェクトは、もしかすると、そういう考えを否定しているんじゃないかと思うんですが。
塚本:建築を都市における空間実践との関連で考えるという意味では連続しています。東京で建築都市論を組み立てるならば、ああいうハイブリッドなものがどういうふうに作られるのか仮説を導くことが大事でした。メイド・イン・トーキョーでは建築単体で見るのではなくて、環境ユニットという概念で捉えると、人々の空間実践が、ものすごく面白く、力強いものとして見えてくる。それをさらに住宅レベルで考えていくうちに、街並みとタイポロジーの方に議論が展開してきたということです。
会場1:わかりました。
平沼:よかったらどうぞ、前田さん。
会場2(前田茂樹):パリのアパートの話なんですけれども、全体の街のつくり方とか背景についてはコンペのときからあったと思うんですけど、実際に何名かの建築家が一緒にものをつくっていく中で、ボキャブラリーを共有する会議であるとか、もしくは、住民との関わり方というのは、どういった形でなされたのかというのをお伺いしたいです。
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