2 1 7[ nie - ichi - nana ] 第21回

日 時 : 2013年 12月 17日 PM 7:00〜
会 場 : 大阪・梅田 グランフロント大阪 コクヨ

ゲスト : 塚本由晴 / アトリエ・ワン
対 談 : 芦澤竜一 平沼孝啓

平沼:きょうは設営機材の不調で、はじまりが遅くになりましたので、 さっそく、塚本さんのお話しをはじめさせていただきたいと思います。 塚本さん、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

塚本:はい。どうぞよろしくお願いします。私たちは個人住宅の設計を多く手がけてきましたが、年間約1万棟を建設、販売するタマホームさんとコラボレーションする機会がありました。これまでの住宅メーカーと建築家のコラボレーションは、1970年代は生産の方法まで手を突っ込むプロトタイプ、1980年代は建築家のデザインを商品の差異化に取り入れる「建築家ブランド」のコモディティ(汎用品)というふうに展開してきました。では今の時代はどうなるのか。私はもう一度、建物の反復が卓越した都市風景をつくり出すことをあきらめてはいません。今の日本の都市の風景は、戦争で焼けたところから急激に復興することを条件にしていたので、とにかく出来る人から建ててくださいという感じだった。しかし、住宅の実践は個別の所有者次第である上に、住宅の産業化、工業化は自分の町にどんな家がふさわしいのか知りません。だから自信が持てない。こうした状況に対し、住宅メーカーとともにできることは、反復に耐える建築の形式、タイポロジーを提案することでした。豊洲に新しくできた住宅展示場に「タマロッジァ」と「タママチヤ」の提案をしました。ロッジアも町家も、私たちがずっと注目しているタイポロジーです。
まずロッジアについて。これはインドのナンデガオンというムンバイの近くの町で見つけたロッジアです。おじいさんが浮いている!と思って近づいていくと、梁から下げたブランコのような板に座って本を読んでいました。質素な家ですが、このロッジアは風や光や影や物干や隣家の子の声などが自由に入り込んでいるという意味で、ふるまい的には豊かな空間だと思います。こういうロッジアが今の日本の住宅にも欲しいですね。


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