2 1 7[ nie - ichi - nana ] 第57回

日 時 : 2018年 12月 21日 PM 7:00〜
会 場 : 大阪・梅田 グランフロント大阪 ナレッジシアター

ゲスト : 安藤忠雄
対 談 : 芦澤竜一 平沼孝啓

司会:それでは、みなさま大きな拍手でお迎えください。

平沼:安藤さん、あらためまして今年の最後もよろしくお願いいたします。

会場:(大拍手)

安藤:いやいや、こちらこそ、よろしくお願いします。それにしても平沼さん。年末やのに、今日もこの217開催には、たくさん、若い人たちが入ってるね。

平沼:はい!聴講に来られた方の年齢の幅が50才ほどあるらしくて、とても広いです。(笑) 3年前から毎年、年末、にお越しいただくことになりした。この写真は、2016年にお越しくださった時の写真です。この日には、安藤さんが建築の活動を始められた20代の頃から、U-35くらいまでのお話しをお聞かせくださって、昨年には現在の僕らの年齢、40代後半に取り組まれ、海外へ出られた頃のお話しを。そして本日は、60歳頃から現在までに取り組まれたことを後期編として、お話しくださいました。まず冒頭に「原点回帰」のお話しをいただけて、神戸の住吉、大阪の住吉の住宅を振り返りながら、今の、“安藤忠雄”に成っていくのかが、これらの住宅に取り組まれていたご姿勢から、活動の広がりに想像力が働いていました。安藤さん、今、振り返ると、どんな風に思っていますか。

安藤:いやぁ、その頃はむちゃくちゃ面白かったね。(笑) 建築というのは、面白いもんやなぁ、とわくわく感じていました。今の若い人たちをみていると、窮屈そうで、あまり面白くなさそうですね。経験や体験をする前に、やってもないのに調べすぎてリアルな体験がなく、保守的になり過ぎて楽しんでいない気がします。うちの事務所でも若いスタッフにもちょっと叱ったら、すぐに辞めます。(笑) 楽しむ前には我慢しないと。もったいないね、建築は本当に面白いのに。

平沼:これは本当に僕もそう思います。安藤さんこの原点の時の話しは、住宅規模だったり小規模だったから、その分、自由度が高かったからですか。

安藤:うーん、まぁ、どうでしょうか。(笑)でもね、だいたい施工費という予算が少なくギリギリでしょ。だからその中で何ができるのかということを必死で考えていました。敷地の条件や予算の制限があるほど設計は難しいですが、逆に言えば、その難しさを解決する提案ができると、好きなことができる。我慢してそこまで考え抜くと、面白いことが待ってる気がしていました。

平沼:安藤さんがボクサー時代を経て建築を選ばれた理由は、何だったのですか?

安藤:中学二年生の時、私の家の一軒向こう隣の家主が大工だったんですが、私の家の平屋建てをその人が2階建てにしてくれた。私も少し手伝った。その時にその大工さんが、一心不乱、夢中に働いている姿を見て、凄い、と思いました。もちろんその時に、建築家になりたいとは思わなかったし、想像もしなかったけど。 これだけ没頭できる仕事なら、建築をつくる人たちの「真剣勝負」は絶対、面白いだろう、と憧れたのが最初でね。

平沼:建築がつくられていくプロセスに、憧れたということでしょうか。

安藤:そうです。建築現場は、何もないところから造り始めると、どんどん建ち上がりますから、面白いと思ったのが最初です。そして材の組み合わせや構法に興味を持ち始めるけど、経済的な事情と、何より学力の問題もあって、建築の大学にも行けないし、専門教育を受けることもできない。それならばどうするかと考えたときに、現役の大学生をみにいこうと思い、京都大学の建築学科をのぞきました。。1つ2つ年上の人たちで、3〜4人、のちに有名になられた人もいますが、交流が生まれまして。この人達が四年間で読む本を、私は1年で、一心不乱に本を読もうと思いました。そこがやっぱり一番重要な決意と自信になりましたね。

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