平沼:最後に芦澤さん大丈夫ですか?

芦澤:では最後に、風の解析はご自身でやっているんですか?自然をどう使うかっていうときにそのシミュレーションだとか、事前にやることっていっぱいあると思うんですけど、その辺の平田さんはどう料理されているのかなと思って。

平田:釜石のやつはアラップとやっています。 テクノロジーを使うときに僕らが 理解していないといけないのは、現実はシュミレーションの通りには絶対にならないという当たり前の前提です。たとえば構造体のなかの力の流れを をシミュレーションすることはできるけれども、現実に 全くその通りに力が流れることは ないと思います。ある傾向だけをシミュレーションを通してみることが出来るだけだと思っています。だからそれが万能でそれが決まっているからその形が絶対だ、ということはないと思います。ただ、ある程度の傾向を持った話はこうなっていくだろうという勘、直感みたいなものを、シミュレーションを通してさらにつけさせることは出来る。そのことが意味のあることだと思っていて、今まで考えてこなかった 視点が生まれるんだったらその技術には意味があると思います。

芦澤:最後の決め所は、ご自身でいろんなやり方をやることですか?

平田:実際のところ、現実の設計における幅は意外にすくないじゃないですか、だから大体決まってくる。 例えば、 釜石の屋根の位置のスタディーで も柱の置く場所が、実は基本的に壁が下にあるとこでないといけなくて、 基本的にはうまくアンカーとれるところに柱を落とすことを前提に考えると、このスパンでこのぐらいの 架構で屋根を架けるべきだっていうのがほぼ出てくる。いろいろ複合的な関係で割と決まるべきところは決まります。 それ以前の段階での枠組みを設定するときに適切な直感力を働かせれば、最後の決め所は割と自然に 、より良い方に決まってきます。

平沼:最後の質問です。毎回聞いているんですけど、建築家ってどんな職業ですか?

平田:おもしろいですよ。

平沼:おもしろい職業by平田晃久でいいですか?

平田:はい。(笑)

AAF:ありがとうございました。それでは、退場されますので皆様大きな拍手でお送りください。

平沼・芦澤:ありがとうございました。

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