平沼:建築で、人と人との関係はどんなふうになっていけばいいと思われますか?

石山:これはとてもいい質問なんだけど、人と人の関係をどうするのかっていうのが建築の主目的の1つじゃないでしょうかね。あんまり人の前で話すの嫌なんだけど、でも僕のこと知らない人とこうやって会えるし、あなたたちみたいな人とも、関係ですよね。
建築の人は抽象的なんだよね。場所の関係とかいうとわかんないんだよね。もうちょっと普通の言葉でいうと、コミュニケーションっていうのではなくて、人と人がどうやって付き合うかっていうのが建築でできる非常に有効なことの1つじゃないかなって思ってます。

平沼:なるほど、どうもありがとうございます。

芦澤:今、ネット世代にどんどんなってきまして、特に若い人たちですね、その中で建築が成し得る役割はどのようなものなのでしょうか。。

石山:これは僕の抽象的な持論なんだけど、日本には革命ってないじゃないですか、フランス革命とかキューバ革命とか。でも今、建築だけじゃなくて革命期なんだよね。ネガティブの革命になってるんです。今が転換期なんですよ。でも、まずいことにね、その中にいる人はそれがわからないんだよ。 

芦澤:うーん、そうですね。

石山:大変な揺れ動いてる時代にいることが、その中にいるとわからないんだよね。そのためにいろんな勉強してるんだけど。1995年の阪神淡路、それから今度の東日本大震災、そのなかにアメリカの9.11のテロがあってですね。ああいうのを含めて大変な大革命が起きてる時代なんだな。日本はアメリカと戦争やって負けた。コテンコテンにやられて原爆まで落とされたんだよね。その前は明治維新、それであなたみたいなヨーロッパかぶれがでてくるんだな。

平沼:うーん、うん、うん、うん、うん、

石山:建築は始めはジョサイア・コンドルときてね、その前の革命期っていうのは平安から鎌倉に移った時が大革命なんですね。その前が仏教伝来。仏教って言うのは、今の時代で言う、グローバリズムですよ。だからグローバリズムでキャーキャー言うなっての。もうずーっとやられてんだよ日本は。受身の国だからね。
要するに時代があるんだね、そういう大転換期。今は完全にそうだと思う。
僕のいる大学だって、今、建築学科の人数、応募者が減ってるしね。みんなどうしようって言ってるけども、しょうがないよって、だって革命期なんだからね。建築は人気がないとか何とか言って、需要が少ないとか言って、そんなのは歴史的にはずいぶんあるんですよね。それを知ってるとあんまり怖くないんですよね。

 

平沼:それでは、会場から質問を2人くらいいただこうと思います。

芦澤:今日は石山先生から、関西の若手の建築家からぜひ質問を、ということです。

平沼:ちょうどこの217の一年目に来てくださった建築家の方達が、今日みんな来てくれてて。

会場1:今日は大変面白かったです。東北での石山さんの活動が大変面白かったです。僕もオフグリッド、独立型の住宅が非常に興味深くて、調べてるんですけれども、風力発電と太陽光発電以外に何か可能性のあるようなことについて教えていただきたいです。もうひとつ、その石山さんの教え子で坂口恭平さんっていうのが、今大変面白い活動をしておられると思うんですけども、彼の最近の活動について何か意見などがあれば、お聞かせ願えればありがたいです。

石山:すでにさっき申し上げてるはずなんですけど、どんな小さい建築でも建築ってある地球上のある場所を占めるものですよね。みなさんが作ってる建築は、消費のための建築を作ってるんだよね。日本の昔の民家って生産してるんだよ。ワラジ作ったり、馬を飼ったりとかね。いま、われわれは消費者とか市民とか言われちゃう。何も生産してない、でも場所を占めるものはエネルギーをつくれるんですよ。だから、それは最低限の責務だなあという風に考えている。
エネルギーの作り方ってのはもう出尽くしてるんですよね。あと残されてるのは組み合わせと経済性ですよね。要するにどれだけ電気が作れるかっていう。電力会社はそれを仲介する会社だから、そこにどう買ってもらうっていう、そこを考えたほうがいいなと。僕のいる世田谷では世田谷電力つくるとか言ってますよ。

芦澤:ふーん、なるほどなるほど

石山:うん。だから、大阪なんか元気のいい政治家出てきてるから、大阪電力とかなんか、そういうことをやってもらえば面白いよね。

平沼:あー、はい、なるほどねー。

石山:何が最適かっていうのは、大体答えが出かかっているんじゃないかと思いますけどね。どうやってバランスよく使うかっていうことかな。そういうデザインがこれから重要じゃないのかなって思います。

会場1:使い方ですね。わかりました。あと、坂口恭平さん…

石山:ああ、あいつ俺のところの卒業生で、目立ちたがり屋でねえ。ああいう今目立ってる人は、2年経ってまだ目立ってろよっていう、それぐらいしかないね。ずーっと、10年やっていくって大変なことだよ。


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