家成:
今、大東から地方都市の問題ということがありましたが、大阪も一地方都市として考えたとき、僕たちが都市的出来事として何ができるかということを考えたときに、DESIGNEASTというイベントを立ち上げました。DESIGNEASTという名前に関しては、普通、東京と大阪の対比で見ると大阪はWESTなんですが、世界全体で見ると大阪もEASTなのではないかと。
これは、プロダクトデザイナーとグラフィックデザイナーと建築家と編集者と研究者という5人で実行委員を組織して、DESIGNEASTというイベントを都市の中でやろうとする訳です。今、実際、メディアや情報がほぼ東京に集中しており、地方としての大阪は受け手となっている。これは、ここにいる皆さんも僕たちも、非常に実感できる問題ではないかなと思う訳です。こないだ平沼さんとちょっとお話していたと思うのですが、大阪の人たちは大阪の人を発見できないんです。常に東京からの情報によって大阪を再発見するしかない訳で、逆輸入的に自分たちが住んでいる場所を発見するのは、時間的にも随分ロスがあります。大阪の中で大阪を発見できる状況を、どうにかつくれないかと。もちろん、今日の試みもそうゆうことだと思っています。
関西で建築をやっていても、デザインをやっていても、国内のハブとしての東京か、あるいは海外で発表するということが常套手段になっている訳です。大阪で仕事をしているのに、大阪で発表をする意義が非常に薄い。今まで大阪でやってきたイベントというのは、行政主導か、あるいはイベンターがやってきたとすると、色んな人に普く説明しないといけないということから、尖ったコンテンツや展示空間は、当然つくりにくい訳ですよね。あるいは先ほどの空き地の話ではないですが、僕たちが提供するコンテンツというのは、空いた場所にぽこっと入れることで、空間の可能性をもう一度、再発見できるのではないかと思ってやりました。
ここでやりたかったのは、大阪に、デザインする状況をデザインしようということです。まずは、そういう状況をつくるために、国内海外問わずいろんな人を呼んできて、メイントークやエキシビション、ショップなんかもやりながら、学ぶ場をつくろうとした訳です。会場は、中之島にある当時建設中だった中之島バンクスという場所だったのですが、工事中なら少し使わせてほしいと了承を得て、工事現場だったところを使わせてもらい、こういうイベントをやりました。海外や日本の建築家、無印良品の金井さんなど、色々な方をお呼びして、メディアミーティングや大阪ミーティングなど、色々やりました。会場に入りきれない人が結構いたのに、クレームを言う人はたった一人しかいなかった。(笑)これはすごいラッキーでしたね。
こういうものは、僕らが自腹きってやっているイベントなので、5人では到底できないんですよね。色んな、来てくれている人たちとか、その手前で関わってくれている人たちの協力によって成り立っているイベントです。夜はDESIGN LOUNGEといって、若手のデザイナーが30分ごとにどんどん話すような機会をつくったり、ショップやエキシビションもしました。
あとは、僕と大東の母校である大阪工業技術専門学校がバックアップしてくれて、建築の展覧会を大阪でやろうということになりました。僕が記憶している大阪の若手建築家の展覧会って、確か10年くらい前にあったきり、なかったと思うんですよね。それってちょっと状況が不健全だし、大阪の学生がわざわざお金を払って東京まで観に行くというのも、どうかなぁと思って、それで、大阪でもきちんと生の模型等を観れる場所をつくろうということで、色んな人に模型を出してもらって、なおかつワークショップとシンポジウムを同時にやっていく感じで、やらせていただきました。
芦澤:
メンバーは全員大阪ではないんですよね?
家成:
そうなんです。僕たちが直接キュレーションって、なかなかできないなぁとこのとき思ってしまいまして、TEAM ROUNDABOUTにキュレーションをお願いしました。彼らが面白い動きをしているのは、東京だけで言論やジャーナルの空間をつくろうとしているのではなくて、大阪とか広島とか福岡とか、色んな地方都市に行って議論の場を起こしているという経験があるので、社会状況と地方の関係を非常にフラットに見れる視点を持っていると思います。それでキュレーションをお願いして、僕にとっても非常に刺激的な展覧会となりました。

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